居合道とは、刀が鞘に収まっている状態から相手の機先を制して抜刀し、剣術を競う武道で、林崎甚助重信(はやしざきじんすけしげのぶ)氏が創始したと言われています。林崎甚助重信氏は、戦国時代の天文11年(1542年)に羽州楯岡林崎村(現在の村山市林崎)で誕生しました。幼少期に京都で父が暗殺されたことを知ると、仇討ちのために熊野神社(現在の熊野居合両神社)へ祈願参拝し、剣術の修行に打ち込むようになります。そして、居合(抜刀)の秘伝を授かり、19歳のときに京都で仇討ちを果たした後は、旅をしながら居合道を伝え歩き、多くの流派が全国に生まれていきました。
村山市にある熊野居合両神社は、林崎甚助重信氏を祀る日本で唯一の居合神社です。勝利祈願のために刀のお守りや御朱印を求めて訪れる参拝者が多く、毎年9月には奉納演武が行われています。また、境内には全国各地から奉納された絵馬を保管する施設があり、年代や大きさの違う趣向に富んだ奉納絵馬を見学することができます。
熊野居合両神社のすぐそばにある「村山居合振武館」では、実際に道着を着て居合道の作法や基本の形のほか、歴史や精神性について学べるプログラムに参加できます。
居合道の精神性とは、人と争って勝つことを“絶対勝利”と考えるよりは、技と心の修行による武徳を身に付け、戦わずして人を制し、絶対の勝ちを収めることを目的としています。正しい刀法と身体の所作の修練が大切であり、刀を鞘に納める一連の所作などは、実際に行ってみると難しいことが実感できます。
真剣で畳筒を斬る抜刀術に挑戦できるのもこのプログラムの魅力です。頭上から日本刀を素早く振り下ろせば、畳筒が真っ二つに。高段者が一つ一つの所作をわかりやすく説明してくれるので、初心者でも安全に居合道に親しむことができます。そのほか、高段者による演武を近くで見られるプログラムも実施しています。
山形県内を流れる全長約229kmの最上川。かつてこの流域が舟運で栄えていた頃、船頭たちに最も恐れられていた3つの難所が村山市にあります。碁石を並べたように岩が突き出た「碁点(ごてん)」、川底に細い三層の岩礁が縦に並ぶ「三ヶ瀬(みかのせ)」、川底全体が岩礁で覆われて急流になっている「隼(はやぶさ)」がその難所で、「最上川三難所舟くだり」では観光舟に乗ってスリルを体感。舟運の歴史や最上川の自然について説明してくれる船頭の軽快なガイドも楽しみの一つです。
また、この最上川を温泉に入りながら眺められる「クアハウス碁点」も人気スポットになっていて、源泉掛け流しの露天風呂は湯量豊富です。市内には温泉施設がほかにも点在し、美人の湯として知られる開湯200年以上の「湯舟沢温泉」はとろっとした滑らかな湯が特徴です。さらに身体だけでなく、心も和ませてくれるのどかな景色との出会いも。東を奥羽山脈、西を出羽丘陵に囲まれている村山市は、山々を借景にした田園風景が広がっていてのんびりとした旅情が味わえます。
そばの産地である村山市の「最上川三難所そば街道」には、約10ヵ所のそば処が集まっています。長方形の浅い木箱状の器に盛り付けられた「板そば」が名物で、1920年創業の「あらきそば」は昔ながらの作り方を守り続けている老舗。地粉を使った太めの手打ちそばはコシが強く、そば本来の味と香りがしっかりと感じられます。
また、村山市はバラのまちとしても有名で、バラ関連のお土産が充実。フルーティーで華やかな香りのバラの花びらとリンゴなどを煮詰めて作ったコンフィチュールは、パンやヨーグルト、紅茶などとの相性抜群です。バラの花びら入りキャンディー、ローズパスタなどのほか、湯舟沢温泉水とローズウォーターのハンドクリームなども人気で、道の駅等で扱っています。